根本 知 Nemoto Satoshi オフィシャルサイト - 書家 / ねもとさとし

order

古今集春歌下 紀貫之

 

古今集春歌下 紀貫之

古今集春歌下、紀貫之。
「桜花散りぬる風のなごりには水なき空に波ぞ立ちける」

桜の花びらが散っていく、その風のなごりには、
水の無い空にまるで波が立っているようだ。

そう、貫之は歌いました。
空に立つ波には彼のどのような心情が投影されているのか、
悲しみか切なさか、はたまた期待か不安か。

直接的表現を避け、読み手によってさまざまな感情を想起させるこの歌は、古今和歌集を代表する名歌だと思います。

旧柳沢邸茶室「大原庵」の床にて。