根本 知 Nemoto Satoshi オフィシャルサイト - 書家 / ねもとさとし

ご依頼

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自詠歌

自詠歌

懇意にしております「呑龍文庫ももとせ」、その10周年の御祝として和歌を詠み、料紙にしたためました。ももとせ好みに表具してくださり、お茶室「遊藝室さいさい」に掛けていただきました。

(和歌)

ゆるゆると
茶を喫すれば
聞こえたり
ももとせねがふ
松風の音

(仮名遣い)

遊るゝゝと
茶を喫すれ盤
支こ盈堂り
もゝとせねがふ
松風の音

古今集春歌下 紀貫之

古今集春歌下 紀貫之

古今集春歌下、紀貫之。
「桜花散りぬる風のなごりには水なき空に波ぞ立ちける」

桜の花びらが散っていく、その風のなごりには、
水の無い空にまるで波が立っているようだ。

そう、貫之は歌いました。
空に立つ波には彼のどのような心情が投影されているのか、
悲しみか切なさか、はたまた期待か不安か。

直接的表現を避け、読み手によってさまざまな感情を想起させるこの歌は、古今和歌集を代表する名歌だと思います。

旧柳沢邸茶室「大原庵」の床にて。